糖尿病の分類
糖尿病は、原因別に以下の4種類に分けられます。
(Ⅰ)1型: 膵β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏に至る。(ⅠA)自己免疫性、(ⅠB)特発性
(Ⅱ)2型:インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある
(Ⅲ)その他の特定の機序、疾患によるもの:(ⅢA)遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの、(ⅢB)他の疾患、条件に伴うもの
(Ⅳ)妊娠糖尿病:妊娠中にみられる糖代謝異常
※約90%の方が(Ⅱ)2型とされています。
糖代謝異常の判定区分
糖代謝の判定区分は血糖値を用いた場合、正常型、糖尿病型、境界型に分けられます。
正常型:空腹時血糖値が110 mg/dl以上、かつOGTT2時間値が140 mg/dl未満
糖尿病型:下記(1)~(4)のいずれかを満たす
(1)空腹時血糖値が126 mg/dl以上
(2)75 g経口糖負荷試験(OGTT)後、2時間後の血糖値が200 mg/dl以上
(3)随時血糖値(食事の有無に関係なく図った血糖)が200 mg/dl以上
(4)HbA1c(NGSP)が6.5 %以上
境界型:糖尿病型でも正常型でもないもの
※境界型は、米国糖尿病学会やWHOのimpaired fasting glucose(IFG)とimpaired glucose tolerance(IGT)とを合わせたものに一致し、糖尿病型に移行する率が高いとされる。
診断基準
糖尿病の診断基準
●初回検査で「糖尿病型」と判定され、 別の日の検査で再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断。 ※上記(4)のHbA1cのみの反復検査による診断は不可。
●血糖値(1)~(3) と HbA1c(4) が同一採血で両方とも「糖尿病型」を示すことが確認されれば、一度の検査で糖尿病と診断。
●血糖値が糖尿病型((1)~(3)のいずれか)、かつ次のa)b)どちらかを認めた場合も一度の検査で糖尿病と診断できる。
a)糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)の存在 b)確実な糖尿病網膜症の存在
(疫学調査の際は、1回の検査だけによる「糖尿病型」の判定を「糖尿病」として扱うことがある。HbA1c(NGSP)≧6.5 %のみでも可)
妊娠糖尿病の診断基準
妊娠中に発見される糖代謝異常には ①妊娠糖尿病(糖尿病に至ってない糖代謝異常) と②(通常の)糖尿病 の2つがあり、 ①の妊娠糖尿病は75 gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断します。
(a)空腹時血糖値 ≧92 mg/dl (b)1時間値 ≧180 mg/dl (c)2時間値 ≧153 mg/dl
糖尿病の治療目標
血糖コントロールの目標としては、日本糖尿病学会より「熊本宣言 2013」で示された上記の3つの目標値が広く用いられています。
(1)血糖正常化を目指す際の目標:6.0%未満
(2)合併症予防のための目標:7.0%未満
(3)治療強化が困難な際の目標:8.0%未満
中でも(2)を強調する内容となっており、その根拠としては、日本人の糖尿病患者(2型)を対象とした代表的な研究「熊本スタディ」で、HbA1c 6.9%未満であれば細小血管合併症の出現する可能性が少ないこと、海外でも大規模臨床研究の結果に基づき、合併症予防のための管理目標値としてHbA1c 7%未満が推奨されていることを挙げています。